1960年代をピークに、その前後の10年間が、イタリアのカロッツェリアの最盛期で、世界中の自動車のデザインに大きな影響を及ぼした時代だった。
その期間にジョバンニ・ミケロッティ、フランコ・スカリオーネ、ジョルジェット・ジウジアーロ、マルチェロ・ガンディーニら、天才と呼ばれたデザイナーたちが輩出したのである。わけてもレオナルド・フィオラヴァンティは、イタリアのカロッツェリアの大御所ピニンファリーナのデザイナーとして、その名声は彼がデザインしたクルマとともに不朽のものとなっている。
ところで、上記にあげたイタリアのデザイナーたちはただエモーショナルに表面的なデザインをしているのではなかった。彼らはダビンチやミケランジェロらルネサンスのユマニスムの伝統を受け継ぎ、彼らにとっては自動車も人間がその中心に乗るものであり、また内部のメカニズムと調和してこそ成り立つのが、ボディ・デザインであることが自明の理であった。フィオラヴァンティは、もとより技術者の家系であり、学生時代にはフィアットやランチアの設計で歴史に名を残すアントニオ・フェッシア教授の指導により、『空力ボディを持つ6座席セダンに関する考察』で学位を取得した。彼にとって自動車デザインの工学的な裏付けは当然のものだった。大学を卒業するとすぐにピニンファリーナにデザイナーとして採用された。若きフィオラヴァンティはアルド・ブロヴァローネの元で2次元で描いたデザインを3次元の物体として具体化する作業をしながら、様々な角度から見たプロポーションについての感覚を磨いた。また彼が大学の時に考案した空力的なセダンは、そのままのコンセプトで、ピニンファリーナBLMCアエロディナミカとして発表された。このコンセプトカーはその後のセダンのデザインに影響を及ぼした。例えばシトロエンGSやCX、歴代のプリウスなどもその影響下にあると断言できるだろう。ピニンファリーナの空洞設備を近代化するよう提案したのも彼だった。そうだ!フィオラヴァンティこそは、水の流れや鳥の飛翔を観察しながらその原理を明察して、様々な発明をしたレオナルド・ダビンチのように、流れる空気を観察して空気と調和するクルマのデザインを探求した美の創造者だった。フィオラヴァンティの量産車のデザインではプジョー208が有名だが、彼自身が最も情熱を傾けたのはフェラーリだった。1968年のパリ・サロンでは、古典主義と前衛を両立させた365GTB/4デイトナを発表した。またコンセプトカーのP5や、それを生産化したBB。また308GTBや288GTOは、フィオラヴァンティの代表作だ。レオナルド・フィオラヴァンティのデザインの最大の特徴は、すでに述べたように、空気の流れと調和する流麗なスタイルである。
今回のアウトガレリア“ルーチェ”の企画展では、ルネサンスの巨匠たちの伝統を受け継いだデザイナーによる、クルマにおける理想のイデアに到達した美の世界を垣間見ていただけることでしょう。
Fioravanti F100r (Mock Up)
Ferrari SP1 (Mock Up)
Ferrari SP1
Ferrari 365GTB4 Daytona
Ferrari 308GTB
Ferrari 288GTO
Ferrari 412
アウト ガレリア “ルーチェ”
イベント期間中、午前12〜午後6時 休館日 月、火曜 (祝祭日除く)
〒465-0053 名古屋市名東区極楽1丁目-5番 オリエンタルビル極楽NORTH2F
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