アウト ガレリア “ルーチェ”

イベント期間中、午前12〜午後6時 休館日 月、火曜 (祝祭日除く)

465-0053 名古屋市名東区極楽1丁目-5番 オリエンタルビル極楽NORTH2F

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Ferrari F40

Dino 246 GT

Honda S800

Honda S800 coupe



展示車両

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 20世紀初頭には新しい感受性を持った芸術家によって、機械そのものに美が見出された。印象派風の絵画を描いていたマルセル・デュシャンは「現代において飛行機のプロペラよりも美しいものは創造できない」と気がつくと、絵筆を棄てて、目で愛でる芸術ではなく、頭で考えるコンセプチュアル・アートを創始した。ここから21世紀にまで至る現代美術が始まった。フォービズムやキュービズムの画家であるアンドレ・ドランも「どんな芸術作品よりも、ブガッティは美しい」と述懐したものだ。機械を描いた画家として、未来派の画家たちや、フランシス・ピカビアが思い出されるが、彼らが描いた機械よりも、実際の機械の方が美しいことは明らかだろう。ことほど左様に、20世紀は機械そのものに美しさが見出された時代だったが、いざ機械を描こうとしても実物より美しく表現することは困難なことだ。

 ところが吉田秀樹が描くと、不思議なことに、むしろ現実の自動車よりも美しく見えるのだ。なぜだろう。おそらく、機械そのもの、自動車そのものを描こうとしているのではない故でないだろうか。実際のところ、彼が描くのはモノではない。描かれたボディに他の映像が写っているように、彼の絵筆が描き出すのは、光そのものである。もっと人間の感覚、目の喜びに素直な、光が描かれている。うつろいゆく光のたまゆらを永遠のイデアとして定着させている。だから、彼の作品は、断じてリアリズムでない。現実を超えた領域に至り、崇高ですらある存在に、自動車を高めている。

 吉田秀樹は、京都でテキスタイルの図案家の家に生まれ、幼少の頃から、フランスから送られてくるファッション雑誌を開いては、そこに写っている美しいモデルたちの背景になっている自動車に憧れてきた。現実の街中で見かける自動車よりも魅力的に見えたのだ。京都で学業を終えると、家業との関わりでテキスタイルの仕事につくためにイタリアに渡り、またフランスのメゾンに移ったが、ファッションの仕事のかたわら、描き始めていた自動車絵画がヨーロッパで大きく評価され、やがて我々日本人にもその名声が伝わってきた。同時に彼の周りの芳醇な自動車文化も雑誌などを通して日本に伝えられるようになってきた。

 それから30年余り、吉田さんは、鶴が自らの羽毛で織物を創る民話のごとく、画室にこもって身を削るようにして、精緻で透明感のある作品を描き続けた。しかし、丹精込められた作品ゆえに、肉体の疲労も並大抵ではなかったのだろう。

 「残念なことに吉田は、昨秋9月巴里で永遠の眠りについた。そして今回、再度auto galleria LUCEにて吉田秀樹の回顧展を行い改めて彼をトリビュートしたい。」

主  催

アウト ガレリア“ルーチェ”

特別協力

Dino Club of Japan / HONDA SPORTS OWNER’S CLUB / ヴィンテージカーズ

協  賛

カーグラフィック / カーマガジン / オートカー・デジタル / スクーデリア

三栄書房 / 国際貿易 / ゼロ・クラフト/ 高原書店 / スピードショップF2

ロンバルディ/ ゆーらしあ / GARAGE IWASA

監  修

ガレリア・アミカ